労働災害について

業務災害通勤災害によって発生したものである場合は、交通事故においても労災保険が使えます。労災保険の特徴については、次のとおりです。


① 慰謝料は、労災保険からは支給されません。自賠責保険や加害者加入の任意保険、あるいは加害者に請求することになります。

② 自賠責保険は、7,8割という重過失が被害者にある場合は給付金額が減額されます。自賠責の傷害分の支給限度額は120万円ですが、ここから減額されると言うことです。これに対し、労災保険の場合は治療費全額の支払いを受けることができます

③ また、労災保険は自賠責のように傷害分の120万円という限度額を超える場合も治療費については全額支払ってもらえるので、 この点は労災保険の方が有利です。

④ 休業損害は、労災は6割しか支給されませんが、自賠責は全額支給されます。なお、両方に請求できる場合でも2倍の金額を受け取ることができるわけではありません。例えば、治療費が50万円しかかかっていないのに、両方に請求して100万円もらえるわけではありません。

1 労働災害事故と労災保険

労働災害にあってしまい、労災保険の申請をしようとしても、事業主がその申請を拒否してくることがあります。その理由の大半は保険料を支払っていない、労基署の立入りが怖いなどの事業主側の理由です。労災保険の利用は「労働者の権利」ですので、労働災害に遭われたらすぐに弁護士にご相談ください。

弁護士に依頼をすることで、迅速な労災保険の申請が可能になります。

2 事業主への損害賠償請求

事業主は、労働者の生命、身体等の安全を確保する義務があります(安全配慮義務)。労働災害のうち、事業主の安全配慮義務違反が認められるものについては、損害賠償の請求が可能です。労災保険による補償は,治療費,休業損害の6割と後遺障害逸失利益の一部が対象になっています。精神的な損害である慰謝料(傷害や後遺障害)については含まれていません。

しかし、労働災害の場合に、被害者に慰謝料が発生しないわけではなく、安全配慮義務違反が認められる場合には、労災保険で補償されない損害についても、請求することが可能です。
弁護士に依頼をすることで、事業主に安全配慮義務違反がないかどうか請求可能な損害額はいくらかについて検証することができます。まずは、ご相談ください。

3 労災保険の後遺障害等級

労災保険の障害等級は、労働能力喪失率を基準としており、各障害等級の労働能力喪失率と支給額は以下の通りになっています。

障害等級 労働能力
喪失率
障害給付
の種類
障害(補償)給付
の支給額
特別支給金
(1回支給)
第1級 100% 年金給付 給付基礎日額×313日分×毎年支給 342万円
第2級 給付基礎日額×277日分×毎年支給 320万円
第3級 給付基礎日額×245日分×毎年支給 300万円
第4級 92%以上 給付基礎日額×213日分×毎年支給 264万円
第5級 79%以上 給付基礎日額×184日分×毎年支給 225万円
第6級 67%以上 給付基礎日額×156日分×毎年支給 192万円
第7級 56%以上 給付基礎日額×131日分×毎年支給 159万円
第8級 45%以上 一時金給付 給付基礎日額×503日分×1回支給 65万円
第9級 35%以上 給付基礎日額×391日分×1回支給 50万円
第10級 27%以上 給付基礎日額×302日分×1回支給 39万円
第11級 20%以上 給付基礎日額×223日分×1回支給 29万円
第12級 14%以上 給付基礎日額×156日分×1回支給 20万円
第13級 9%以上 給付基礎日額×101日分×1回支給 14万円
第14級 5%以上 給付基礎日額×56日分×1回支給 8万円
*労災保険の後遺障害等級は、自賠責保険の後遺障害等級と基本的には同じです(自賠責の等級認定基準が労災の等級認定基準に合わせています)。

ただし、労災保険からでる保険金の内容と自賠責保険の給付の内容は異なりますし、認定等級も必ずしも同じではありません。
適切な障害補償給付を受けるために、まずは弁護士にご相談ください。

4 弁護士費用

当事務所の弁護士報酬については以下になります。まずはお気軽にお問い合わせください。