福島・郡山・いわき・会津・白河企業の法律問題相談、顧問弁護士のお問い合せは郡山タワー法律事務所まで

残業問題⑨ Q 係長の職にある従業員は管理職であるので,残業代を払わなくて良い?

2013年4月23日 労働

A 多くの場合,「管理職だから」という理由で支払いをしなくていいことにはなりません。

 管理職の従業員には残業代を支払わない,としている会社があります。確かに,法律上「監督若しくは管理の地位にある者」(管理監督者といいます)には残業代の支払いはしなくて良いということになっています(労働基準法41条2号)し,実際に何らかの管理職の肩書がある労働者が残業代を請求した場合,会社側は必ずと言って良いほどこの条文を持ち出し反論を試みます。
 しかし,法律上の管理監督者は一般に言うところの所謂「管理職」とは全く別物で,極めて狭い範囲でしか認められません。「管理監督者」とは「労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者」であるとされており,具体的には権限の大小,給与額等の待遇や出退勤の自由,管理の有無などを考慮して判断されますが,一般に管理職とされる地位であっても主任,係長といった地位にある従業員が管理監督者にあたると認められることはほとんどなく,大きな会社の部長クラスなど相当高い地位になって初めて認められるようなものです。
しばらく前に「名ばかり店長」という話題が世を賑わせましたが,名ばかり店長の問題も法律上の「管理監督者」と,企業内の肩書としての「管理職」が別物であったため問題となったもので,会社内でどのような肩書を有しているかにかかわらず,実態として管理監督者といえる権限等を有していなければなりません。
 このように,管理監督者と認められる場面はかなり狭いものですので,管理職だからと安易に残業代を支払わないでいると,後日高額の残業代請求を受ける危険があります。
 なお,管理監督者にあたる場合に支払いが不要となるのは「時間外割増賃金」であって,深夜労働に従事させている場合には別途深夜労働に対する割増賃金(深夜労働に従事した時間×1時間当たりの賃金×0.25)の支給が必要となります。



福島・郡山・いわき・会津若松・白河・須賀川・仙台・宇都宮の企業の法律問題のご相談は

郡山タワー法律事務所 弁護士 三瓶 正 まで。
当事務所の総合ホームページは http://www.kt-law.info/

当事務所の企業法務・顧問弁護士サイトはhttp://komon.koriyama-law.com/