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あなたの会社は大丈夫ですか? 残業代の問題④

2013年4月12日 労働

未払い残業代請求がなされた場合の会社の言い分について、その主張が通るかどうかを解説していきます。

○ そもそも残業代はないよ、という合意の下、従業員を雇ったから残業代は発生しない。

  →これは認められません。

   労働基準法の賃金等に関する規定は強行法規です。
   強行法規に反する合意がなされても、むしろその合意が無効となります。

   ですから、「残業代は支払わない。それでよいですよ」という合意があっても、それを理由に残  業代請求を拒むことはできません。

○ 基本給に残業代も含まれているという合意の下、従業員を雇用した。だから、残業代は基本給の中 に含まれており、未払い分はない。

 
  → この方法は、きちんとなされていれば有効です。

    ただし、基本給と時間外手当の部分が明確にされていること、具体的に何時間分の残業代なの   かがきちんと労働契約書や給与明細の中に記載されていること、その時間を超える部分は別個に   残業代が支払われることなどの一定の条件があります。

    これらの条件を満たしていれば、この言い分が通る可能性があります。

○ 管理職手当、営業手当、精勤手当、資格手当は、残業代の意味で支払っていた。

  → これは認められません。

    残業代であることを明確にする必要があります。

○ 残業代の代わりに、成果に応じて歩合給を支払っている。

  → これは認められません。
    歩合給と時間外手当は別のものです。むしろ、歩合給に対して割増賃金を支払う必要性が出る   こともあります。

○ 管理職なので、残業代は不要である。

  → これはケースバイケースによります。

    労基法上の「管理監督者」にあたる人であれば、残業代は発生しません。

    ただし、会社の「管理職」と労基法の「管理監督者」は同じ概念ではありません。

    イメージとしては、会社の「管理職」のごく一部が「管理監督者」になると考えてください。

    ですから、管理職であっても、管理監督者に当たらない人に対しては、残業代を払う必要があ   ります。

○ 残業はしないで、決められた終業時間後はただちに帰るように言っていた。勝手に残って仕事をし たのだから、残業代の支払いはする必要がない。

  → これもケースバイケースになります。
    
    残業は、会社の指示によりなされるものですから、終業後に直ちに帰るように言っていたのに   、いつまでも残っていたという場合は、残業代が発生しないのが基本です。
    ただし、現実には、残業を黙認している場合もあり、口では「帰るように」といっていても、   残業をしないと仕事がまわらないような状況にあった場合には、残業として認められることにな  ります。

    会社としては、通常の時間内で終えることのできる程度の仕事量しかなかったことや、会社に残っていたけれど、仕事はしていない等を証明する必要があります。

○ 年俸制をとっているので、残業代はない。

  → これは認められません。

    年俸制でも残業代は発生します。
 



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