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解雇・退職④ Q 有効に従業員を解雇するにはどうすればいいのか。

2013年3月26日 労働

A 改善指導や証拠の収集など,十分に準備をしてからでなければ難しい。

 これまで何度も解雇は難しいと述べてきましたが,実際に解雇はどのような場合に有効となるのでしょうか。
結論から申し上げて,こうすれば有効に解雇できます,という絶対的な方法はありません。
解雇には普通解雇と懲戒解雇,普通解雇にも一般的なものと会社の経営悪化等を理由とする所謂整理解雇がありますが,一般的な普通解雇について述べますと,法律上「客観的に合理的な理由を欠き,社会通念上相当であると認められない場合は,その権利を濫用したものとして,無効とする」(労働契約法16条)とされています。
 解雇の事例としてよく見受けられる,従業員の能力不足を理由とする解雇の場合を例にとると,「客観的」理由が必要となりますので,単にミスが多い,成績が不振である,などという漠然とした主張では不十分で,いつどのようなミスをしたか,それによりどのような影響が出たのか,などといったことを,個別具体的に主張する必要があります。さらに,「社会的に相当」である必要がありますので,ちょっとしたミス程度では解雇はできませんし,単に成績が良くない,ミスを頻発する,というだけでなく,それに対しどういった改善指導を行い,何度も指導し解雇以外にも戒告,減給といった解雇よりも軽い処分を行ったがなお改善がない,等といった事情も必要となるでしょう。
そして,上記のような解雇を正当化する理由は全て使用者の側が証明しなければなりません。それも,裁判の場に同僚であった従業員を連れてきて証言させても裁判所はあまり重視してくれませんので,指導をしたことなどを当時の文書等の客観的証拠で証明する必要があります。
このように,解雇をするためには,証拠を丁寧に収集,保存しておく必要があり,いざ解雇したい,という時になって慌てて動き始めても証拠が集められない,などということになります。
実際に解雇をする場合に限らず,退職勧奨や解雇以外の処分をするに際しても,そういった証拠のあるなしで従業員自身に対する説得力も大きく違いますので,日頃から従業員に対する注意や指導,処分などは口頭で済ませず,文書やメールなど後日に残る形にしておくことが望ましいといえます。



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