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従業員管理① Q 従業員のミスで,会社に損害が生じた。従業員個人に対して損害の穴埋めとして金銭の支払いを求めて良いか。

2013年6月13日 労働

A 従業員に故意,重大な過失がない限り請求はできません。

 会社が従業員に対しミスの穴埋めを求めた,などという話を耳にすることがあります。法律的に言えば,ミスの穴埋めに金銭支払いを求めるというのは,従業員の行為で会社に生じた損害の賠償を求めるということになりますが,労使間において使用者の側が労働者に対し損害賠償を求めることができるのは,従業員に故意(わざと会社に損害を与えるような行為をした)または重大な過失(通常では考えられないようなミスをした)がある場合に限られます。また,請求が可能な場合でも,賠償の認められる範囲は「信義誠実の原則」に照らして相当な範囲に限られますので,たとえば,法定の労働時間を大きく超えた時間外労働を日々課していて,過労が原因でミスをしたような場合,会社の責任が大であり,請求は認められ難いといえます。
 労使の関係は,一般社会においては会社の側が圧倒的に強いとされますが,その分法律上労働者は使用者との関係で極めて強い保護を受ける立場にあります。このような「不当な賠償請求」をきっかけに,労使間に大きな紛争が生じ,かえって会社の側が多額の支払いを強いられるような場合もあります。
 いかなる場合であっても穴埋めが絶対に認められない,と断言はできませんが,このような損害の穴埋めを求めることには慎重な検討が必要であるということは認識しておくべきでしょう。



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